Marshall Fire(コロラド州ボルダーカウンティ)記録
2021年12月30日、大規模な山火事 Marshall Fire が発生しました。
原因は 2021年12月30日の強風で破損した送電設備が着火源となった可能性 が指摘されており、
(特定住宅からの出火説も報道あり)
Superior・Louisville(ルイスビル)を中心に約1,000棟が全焼 する甚大な被害となりました。
避難指示が出た際、屋内に煙が流れ込み息苦しくなったため 準備が整わないまま即時避難 することになりました。
コロラドは地震・台風の少ない地域ですが、山火事・雹・洪水 の災害リスクは高く、今後の備えを残すために当時の状況をまとめます。
火災後の雪と寒波による二次災害
12/31〜1/1にかけて雪と低温(1/1午前7時 −13℃)となり、停電・ガス停止の影響で住宅が冷え込み 水道管破裂などの水害 が相次ぎました。
(我が家でも一部配管が破損 → 自分で修理)
近年、山火事・暴風・雹・竜巻・局地豪雨など極端気象が増加しており、子どもたちが大人になる頃、地球に安全な生活環境がどれほど残っているのか、不安を覚えずにはいられません。
Marshall Fire関連情報・サポート
基本情報: Emrgency Status, Boulder OEM
避難命令、状況更新、公式案内など
電気・ガス: Restoring Service to Natural Gas and Electric Customers, Xcel Energy
電気 → 1/1午後に広範囲で復旧
ガス → 各家庭を訪問点検し順次復旧中
水: ルイスビル市
飲料不可:12/30〜通知解除まで(1/9見込み)
All Louisville Under Boil Water Notice Until Further Notice
Boil Water Notice(水圧低下により細菌混入の可能性があるため)
火災情報 ArcGIS US Wildfire Activity Web Map
被焼エリアの表示・広域確認が可能
ヒーター/飲料水 無料配布: ((ガス停止のため暖房不可))
YMCA in Lafayette at 2800 Dagny Way, at the Boulder
YMCA at 2222 14th St.
Superior Community Center on 1500 Coalton Road
※配布:1/1・1/2 8:00–20:00
※我が家もヒーター(1500W×2)、飲料水を受け取りました

⚠ ヒーター2台を同一回路で使用するとブレーカーが落ちます
1500W ≒ 13A → 一般家庭の1回路15Aにほぼ到達
ドネーション Boulder County Wildfire Fund,Community Fundation, Boulder County
→ 被災者支援(我が家はこちらへ寄付)
火災時の様子
火災発生時と避難



被害状況(1/6 Boulder County発表)
2市 全焼: 1,084棟, 損害: 149 棟 (Boulder County発表, 1月6日)
- Louisville 市 全焼 550棟,損害 43棟
- Superior 市 全焼 378棟,損害 58棟
- 2市以外 全焼 156棟,損害 48棟
CO₂(二酸化炭素濃度)の急上昇と体験
通常の室内 → 500〜600ppm
煙流入後 → 900ppm超

停電中で火災位置が分からず、数値上昇を見て一時的に体調悪化しました。
家族は平気でしたが、心理的ストレスが身体症状を悪化させる ことを実感。
数値 状況(説明書から)
| 二酸化炭素濃度(ppm) | 状況 |
| 0 – 450 | Excellent |
| 451 – 1000 | Good |
| 1001 – 1500 | Mild |
| 1501 – 2000 | Moderate |
| 2001 – 3000 | Severe |
| 3001 – 5000 | Serious |
(参考)全地球の平均二酸化炭素濃度は 410-420 ppm です.
→ 関連記事「地球温暖化 二酸化炭素」
※本機は一酸化炭素は測定不可
※一酸化炭素警報器は作動なし
避難時の課題と今後の備え
避難命令のスマホアラートが届かず、消防車の巡回で避難を判断。
今後の教訓 → 最低限持ち出すべきものは即時取れる状態に。

持ち出し Priority 2点のみ
今回,避難の備えが十分でなかったので,今後のために最低限あった方が良いものをまとめます.
2点のみ: 重要書類と電子データ(物品は諦める)
- パスポート,グリーンカード,ソーシャルセキュリティーカード,重要書類(原本)など IDをまとめてパックなどに入れて保管しておき,すぐに持って出れるように.できれば1パックにしておくと,それだけで済むので良いかと思います.
- 再発行できますが,手続きが非常に面倒だと思います.
- これを盗まれると大変なことになるので,安全な場所に保管しておくこと.
- 写真や書類などの電子データ: 全データが入ったパソコン,あるいは外付けディスク
- 今回の火災では,全焼した家では耐火金庫もどろどろに溶け,中にある結婚指輪などの貴重品も全て焼失したと報告されています.物は全て諦めるしかありませんが,電子データはすぐに持って避難できるように準備しておくと良いと思います.
普段から準備できるもの
- 寝袋 避難所にあることが多いですが,道路の損傷で身動きできず車内泊の必要がある時,友人・知人宅にお世話になる場合もあると良いかと思います.
- ジャケット,毛布 万が一の時への備えとして古くて捨てても良いものを捨てずに車の常備.雹が降った時などは車を保護.
災害時に役立ったもの(実体験)
災害に遭った時に,役立つもの(現在役立っているもの)をまとめます.
| 用品 | 用途 |
|---|---|
| LEDライト | 停電時必須 |
| モバイルバッテリー | 通信確保 |
| アナログ温度計 | 凍結リスク判断 |
| キャンプ用ガスコンロ | 調理・湯沸かし |
| 電気ケトル | 燃料不足時に便利 |
| 使い捨てスリッパ | 冷たい床対策(日本ホテル品が便利) |
| 毛布・寝袋 | 低温時の生存装備 |

風速情報(NCAR観測)
火災発生時には100 MPH(時速100マイル)の突風がふいていたことが報告されています.これは,およそ秒速 45 m (45 m/s)の風です.
この突風の影響で,私の家のバックヤードのポプラの木が根こそぎ倒れました.
観測された風速
火災発生12/30 11時前後〜深夜
突風 80MPH(約36m/s)超を連続記録
→ 我が家のポプラは根こそぎ倒壊
以下は,ボルダーのNCAR(アメリカ気象研究センター,日本の気象庁気象研究所に相当)の2ヶ所の気象観測値(風速)です(利用サイト: Mesa Lab, Foothills Lab, NCAR).


ニュース動画
停電時のTips
ガレージは手動で開けられる
赤いリリースコードを引く → 手動開閉可能
→ 車避難のため 事前に一度練習推奨

関連記事「ガレージの故障・メンテナンス」
電気使用の注意(ガス復旧まで)
しばらくガスが利用できないため配られた電気ヒーターですが,近いところにある電源タップの2台接続すると,ブレーカーが落ちることがあります.
電気ヒーターの消費電力は,一般的に1500W(ワット)なので,大雑把に13A(アンペア)となり,一般的なアメリカの1回路のブレーカーの許容消費電力 15A に近くなります.
このため,複数台の電気ヒーターを利用する場合,なるべく遠い(別系統の)回路を利用すると,ブレーカーが落ちることを防ぐことができます.
消費電力の目安は以下になります(実際に利用しているものを確認しました)
- 電気ヒーター 1500W
- 電気毛布 180W

関連記事 「電気 ブレーカー」
我が家の記録ログ
問い合わせがあるので,ここにうちの状況を簡単にお知らせしておきます.
2021年12月30日
2021年12月30日(大火災発生 避難)
強風で庭のポプラの木が根こそぎ倒れる(被害1),その後停電発生,火事の煙で息苦しくなる,消防車がサイレンを鳴らして廻っていたので,ガレージを手で開けて避難開始.

避難場所へ向かう車で大渋滞で,ボルダー方面(煙が届かない風上側)へ誘導され,そのうち消えるだろうと思い,ボルダーの Whole Foods の駐車場でしばらく待機.
知人宅に避難(感謝).避難中,子どもたちの友人から,うちの前の大きな建物が全焼した,うちはきっと燃えているはず,という情報が届き不安でいっぱい(間違った情報でした).
テレビのニュースで,うちの1ブロック先の大きな建物が燃えている様子がずっと報道されていました.
2021年12月31日
2021年12月31日(避難中)
家が焼けていないことのみ確認(安心).家の中は煙くさく,電気,ガスはストップしたまま.水道は汚染されているので飲料目的ではしばらく利用できないと知らせあり.
2022年1月1日
2022年1月1日(避難→家へ,電気利用可,ガス無し,暖房 飲料水 風呂 利用不可)
久しぶりの雪と寒さの中家に移動.電気,ガスは止まったままだったが,電気が午後に利用可能に.寒さで室内の水道管が一部損傷(被害2).
電気ストーブと水(ボトル)を配布場所からいただき,キャンプ用のコンロと電気ポットでお湯をわかし簡単な食事.電気ストーブで室内温を45F (7℃)以上に保ち,家族同じ場所で一夜を過ごす.

2022年1月2日
2022年1月2日(電気利用可,ガス無し,暖房 風呂 利用不可,飲料水汚染)

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2022年1月3日
2022年1月3日(ガス点検後に開通→暖房,シャワー利用可に,飲料水汚染,携帯電話回線 T-Mobile 圏外/不安定)

→ 関連記事「家のエアコン メンテナンス」, USAJPN.COM メインHP
2022年1月4日
2022年1月4日(飲料水汚染の可能性,空気汚染の可能性→屋外で風の強い火はN95マスク着用推奨)
倒木の片付け終了,灰の掃除,住宅保険会社へ破損箇所の報告とアポイントメント


→ 関連記事「Black and Decker ブラックアンドデッカー 20V電動ツールシステム」,USAJPN.COM メインHP


2022年1月5日
2022年1月5日(飲料水汚染の可能性,空気汚染の可能性)
学区の学校スタート(クローズされた道路を通過するための証明証が配布される.車で送り迎えは証明証をダッシュボードへ置けば ID の確認不要で通過可能)
煙の臭いがほぼなくなる
2022年1月6日
2022年1月6日(飲料水汚染の可能性→解決,空気汚染の可能性)
雪と寒さ(-15℃)でボルダー学区の学校が2時間遅れスタートに

夜に水道が飲料目的で利用可能に.ただし,5分くらい水を出してから利用すること
2022年1月7日
2022年1月7日(空気汚染の可能性,停電 1時間半ほど)

・バイデン大統領の Louisville 市訪問とスピーチ
・夜に1時間半くらい停電
2022年1月8日
2022年1月8日(空気汚染の可能性 →しばらく注意が必要)
・コスコ Superior 店が再オープン
2022年1月9日
2022年1月9日(空気汚染の可能性 →しばらく注意が必要)

落ち着いたので,そばを食べ,もちをつきました.10日遅い年越し/新年のような感じです.



Amazon ジャパン (左) / US(右) 関連商品: ホームベーカリー
現在の状況(1月9日時点)
- 電気,ガス,水道水(飲料目的)利用可
- 強風時は屋外でのN95マスク着用推奨(汚染された灰をブロック, VOC 揮発性有機化合物など, Louisville 市)
- 空気清浄機がある場合常時稼働推奨(Louisville 市)
- 参考になる情報 ”How to Mitigate Post-Fire Smoke Impacts in Your Home“, CIRES, コロラド大学 → HVAC: MERV 11, 12, 3M 1000,1500 フィルター推奨,HPEA フィルター + 活性炭フィルター対応のもの (空気中の有害物質の他コロナウイルスも除去可)
- ブロックされている道路・エリアに入る場合の証明証提供(エリア内住人向け,エリア内の学校に入る車両等)
お知らせ(ミールトレイン)
ボルダーエリアで被災された日本人家族向けのミールトレインが行われています.
日本食などを提供していただける方は,ボルダーカウンティーとその周辺に住んでいる方にお問い合わせください.
よろしくお願いいたします.

