計画停電の可能性について
12月15日(月)、発電会社 Xcel Energy は、強風予報に伴い、12月17日(水)に計画停電(Public Safety Power Shutoff)を実施する可能性があると発表しました。

これは近年、コロラド州およびカリフォルニア州で共通して採用されている判断基準に基づくものです。
70〜90 mph の突風と乾燥した寒気が予測される場合、
倒木や送電線への接触リスクが高まるため、
「事故が起きる前に送電を停止する」という予防的措置が取られます。
NOAA NWS の予報(Boulder)
12月15日 時点の NOAA NWS(Boulder)の予報では、
High Wind Watch(強風注意報) が発表されていました。

その後、12月16日 の予報更新で、
High Wind Warning(強風警報) に引き上げられています。

強風発生のメカニズム
ここからは、YRAIN Project の可視化プロダクトを用いて、
今回の強風が発生するメカニズムを解説します。
North America Upper-Level 300 hPa Geopotential Height, YRAIN.com
以下の図は、300 hPa(高度 約10 km) のジオポテンシャル高度を示しています。
高層ほど大気現象は地上より先行して現れるため、
強風イベントの兆候を早期に把握できます。
※より地上に近い状況を確認するには、
700 hPa(高度 約3 km) の図が有効です(YRAIN システムにセットアップしました)。
図中で 紫色〜青色 で示されている領域は、
寒気が存在する場所を表しています。
時系列で見る寒気の南下
12月17日 午前5時(MST)

12月17日 午後5時(MST)

12月18日 午前5時(MST)

この時間帯にかけて、
冷たい空気がカナダ側からコロラド上空へ南下していることが分かります。
等高線は非常に密集しており、
これは 強い気圧傾度(synoptic-scale forcing) を意味します。
この勾配がロッキー山脈にほぼ直交する形でかかるため、
Front Range 地域では非常に強い風が発生します。。
なぜ地上は極端に寒くならないのか?
寒気が南下しているにもかかわらず、
地上気温はそれほど下がらないと予測されています。
これは、
ロッキー山脈を越えて吹き下ろす風が
フェーン現象(Chinook) によって昇温するためです。
12月18日 午後5時(MST)

この時点では、
寒気は次第にコロラド州から東へ移動していきます。
12月19日 午前5時(MST)

大気断面図による確認
次に、YRAIN Project の大気断面図を確認します。
Continental United States Atmospheric Cross-Section (GFS Forecast), YRAIN.com
風と気温
以下は、
アメリカ大陸東西方向の大気断面図
(12月18日 午前5時 MST)です。
- 矢印:風
- 色:気温

ロッキー山脈から吹き下ろす強い風(downslope flow)が明瞭に確認できます。
上空には寒気(青色)が存在していますが、
Front Range では同時に強烈な フェーン昇温 が起きています。
その結果、
地上気温は −10℃ まで下がらず、0℃前後(黄色)で推移します。
水蒸気と乾燥状態
次に、水蒸気分布を見ます。
青色:湿潤
赤色:乾燥

コロラド上空は真っ赤に表示されており、
非常に乾燥した空気に覆われていることが分かります。
極渦(Polar Vortex)プロット
最後に、YRAIN.com(YRAIN Project)の極渦プロットを確認します。
Polar Vortex (US), YRAIN.com (YRAIN Project)
以下は、
300 hPa(高度 約10 km) における
12月18日 午前5時(MST) の極渦分布です。
寒気がコロラド州付近まで南下している様子が、
明確に確認できます。

英語版記事

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